どうして絞りを開く(F値を下げる)とボケるの?その理由

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最近、カメラの質問を受ける事が多くなりました。

今日の記事は、その中でも割と多い、

「どうして絞りを開ける(F値を下げる)とボケるの?」

という疑問に答えていきたいと思います。 絞りとボケの関係性を語る上で、必要なものには次のようなものがあります。

  • 焦点距離
  • レンズの焦点距離と結像の公式
  • 被写界深度
  • 有効径

そういうの聞きたくない(゜口゜)という方多いと思います。 これらの説明を全部やるのも重要なのですが、今回は、絞りとボケの関係について、数式計算を使わずに説明したいと思います。

という訳で本日の要旨はこちら

絞りを開ける(絞り値を小さくする)と背景等がボケるという現象は、ピントが合っていない部分から出た光が、どのようにセンサに当たるかを考える事で、ある程度数式を使わずに説明できる。ここではそれを、レンズの果たす役割、ピンホールカメラからの歴史と共に説明する。

それでは以下の順番で説明していこうと思います。
①なぜ写真が撮れる? -そもそも写真がなぜ記録できるのか、最も簡単なピンホールカメラで説明します。
②なんでレンズって必要なの? -ピンホールカメラではなぜ駄目なのか。レンズを使う意味を考えます。
③ピントが合うとはどういうことか -レンズをカメラに使う事で起きるピントというものに注目します。
④絞りとボケの関係 -ピントが合わない事と絞りの関係についてまとめて終了です。

では参りましょう。

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①なぜ写真が撮れる?

カメラの中には昔であればフィルム、デジカメであればセンサがあります。これは光の強さを感じる事ができるものです。 さて、皆さん日焼けはご存じかと思います。日光を浴びると皮膚が黒くなりますが、これはある意味日光が当たった事を記録している事になります。皮膚の一個一個の細胞が日光を浴びて黒く変化する。デジカメであれば、小さなセンサの集まりがあり、一つ一つが光を感じてそれを記録している訳です。しかし、これらの光を感じる素子や細胞は、光が当たったかどうかは分かりますが、光がどこから来たかは分かりません。 当然ですが、太陽のマークが腕に現れたりする事はありません。なぜなら、太陽の光は肌全体にまんべんなく当たっているからです。

では、日焼けした肌から太陽の方角が分かるように、太陽マークを腕に残すにはどうしたら良いでしょうか?一つの方法は、小さい穴のあいた板を肌の上10cmくらいに持ってくる事です。すると、太陽が動かなければ日焼けするのは一カ所だけになりますね。この時、太陽の方角を推定するのは簡単です。日焼けした場所と穴を直線で結んだ先に太陽があるはずです。 これを利用したのが図1に示すようなピンホールカメラと呼ばれるものです。

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部品はフィルムと穴のあいた箱だけ。これだけで写真を撮る事はできるのです。ここで覚えておいてほしいポイントは一つ、
一カ所から出た光が一カ所に当たって記録される。これが写真の基本です。この図を見ると、カメラの場合、センサに写る映像は穴を通るので上下反転する事が分かると思います。

②なんでレンズって必要なの?

先ほど、ピンホールカメラを例に、カメラの原理を説明しました。

あれ?レンズいらなくね?

そうです。レンズなんてなくても写真は撮れるんです。 しかし、ピンホールカメラには限界があります。

ピンホールだと撮影に時間がかかる!

いくら写るものが明るくても、フィルムに到達するのは小さな穴を通った光だけです。昔の写真は侍が何時間も動かずに立っていなければならなかった等という話を聞いた事はありませんか?フィルムの感度が低かったという理由もありますが、小さな穴では十分にカメラが光を取り入れる事ができません。 そこでレンズの出番です。 実際のカメラレンズは色々な補正が必要なために何枚も重ねたものを使いますが、基本は凸レンズだと思って下さい。 レンズがどういうものか知らない人のために、図を示します。(図2,3)
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虫眼鏡が光を集めるというのは知っていると思います。

図2:レンズに光が入るとある1点にあつまります。
図3:ある一点から出た光はレンズを通ると同じ方向に進みます。

以上の2つの性質はなんとなく分かってもらえると思います。では、上の2枚のちょうど中間はどんな感じでしょうか。それは図4のようになります。 4 ある1点から出た光が、右側でまた1点に集まっています。これはずばり、①の結論で述べたようにカメラの基本と同じです。しかも、今回はピンホールとは違い、細い1本の光ではなく、レンズに当たった光すべてを再び1点に集める事ができています。つまり明るく写るという事です。

③ピントが合うとはどういうことか

ここまでで、カメラにおけるレンズの必要性は理解してもらえたかと思います。では、次にピントが合うとはどういう事かを考えます。 ピントが合うとは、1点から出た光が1点に集まる事です。5 では図5を見てみましょう。左側の被写体2つのうち、Aから出た光は反対側のセンサでまた1点に集まっていますが、Bから出た光は、センサの所では1点に集まっていません(赤線)。これがボケるという事です。 日焼けした肌に、太陽のマークが出ないのは、太陽1点から出た光が肌の広い範囲に当たっている、つまり究極的にボケている状態だといえます。(逆にレンズでその光を1点に集めようとしたらヤケドします)

④絞りとボケの関係

さあ最後です。まず絞りとは何なのかを説明します。絞りとは、レンズに入る光の量を調整するために、一般的にレンズの内部にある輪っか状のものです。その開いた部分の面積を変える事によって光の量を調整しています。 6
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さて、先ほどBから出た光は、センサの上でボケてしまいました。その広がり量がボケになる訳ですが、絞りを絞ると、レンズに当たる光は細くなります。結果、被写体からの光は絞りの大きさによって広がる範囲が変化します。元々ピントが合っているAからの光はもちろん1点に集まってピントは合ったままです。逆に、絞りを開けた場合、Bからの光のうちレンズの端の方を通った光はよりセンサの上でよりずれた位置にたどり着いてしまいます。
まさしく、これが絞りを開くとボケが大きくなる理由です。

今日は絞りとボケの関係について解説しました。 より正確な話は、計算が必要になってしまうので省きますが、レンズのスペックが分かればボケ量を計算する事は可能です。興味があれば被写界深度等について調べてみて下さい。

5 Comments

    1. ありがとうございます!今後も皆様にカメラをより楽しんで頂けるようなコンテンツを作っていきたいです。

  1. LEDライト等の絞りを調整できる光でも同じことがわかりますね。絞るとストレートな強い光だけで照らされます

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